早期の大腸癌はお腹を切ることなく内視鏡で切除が可能です
~早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術(大腸ESD)について~
大腸腫瘍は腫瘍全体の中でも増加傾向にあり、欧米諸国と比べても日本は顕著な増加傾向を認めています。現在大腸癌は、男女癌死亡原因の第2位となっていますが、現在の顕著な増加傾向を考慮いたしますといずれ第1位になることもあり得ると推測されています。
当院では胃・食道・大腸の早期がんに対するESDを行っております。
大腸ESD入院治療の流れ
大腸ESDの外来から入院・退院、退院以降の外来の流れについて解説
外来
大腸腫瘍の治療目的で紹介状をお持ちになった患者さんは、大腸ESD専門外来で診察を行うようにしています(月曜~金曜の午前)。なるべく当日中に必要な検査を行い、治療日程をその日に決めるようにしています。患者さんによっては、より詳しい検査が必要になることもあります。その場合は、検査日を決めて再度検査に来ていただくこともありますので、何卒ご理解頂きたいと思います。
入院
大腸ESD専門外来にて入院日および治療日を決定します。入院に関しては担当の看護師から詳しい説明があります。
治療当日
前日より大腸内をクリーンな状態にしてもらうために特別食および眠前に軽い下剤をかけてもらいます。当日は、大腸前処置用の洗腸剤を飲んでもらい大腸内をクリーンにします。大腸前処置後に治療内視鏡室に移動してもらいます(治療の時間帯は、他の患者さんの治療の流れにより前後することがあります)。治療中は、静脈麻酔剤を使用しますので意識はほとんどありません(呼吸は自発呼吸となります)。
術後
術後は、一般病棟に戻ってもらいます。侵襲が少ない病変を治療された患者さんでは、その日から飲水は可能となります。大きい病変や合併症の恐れのある患者さんでは手術当日は絶飲食となります。手術翌日に腹痛や血便などが認められない場合には、昼頃から食事開始(全粥食)となります。経過次第ですが、翌日ないし翌々日に退院となります(ほとんどの患者さんが2泊3日ないし3泊4日で退院されます。全国平均の7.5日の入院期間に比べ短期間での入院となっています)。
退院後の外来
切除した病理検体の結果説明のため退院後2~3週間前後に大腸ESD専門外来を受診して頂きます。病理結果を説明し、いわゆる治癒切除の場合には当科外来もしくは紹介元の先生方と連携して今後の診療を継続していきます。非治癒切除の場合には、追加外科切除などの治療が必要となります。ESD適応となる患者さんは腹腔鏡での治療が可能である方がほとんどですので、腹腔鏡治療をお勧めしています。